個人情報をFAXで送る6つの対策ポイント|受信後の管理方法まで解説

取引先へ申込書や契約書をFAXで送るとき、宛先を間違えたらどうしようと不安になることはないでしょうか。氏名や連絡先が書かれた書類は、一度誤って送信すると回収できません。届いたFAXを複合機に置いたままにしている状況も、社内では見過ごされがちです。
FAXで個人情報を送ること自体は、法律で一律に禁止されているわけではありません。ただし個人データを扱う事業者には、漏えいを防ぐための措置が求められます。送信時の手順と受信後の管理の2つをそろえることが、対策の基本になります。
本記事では、漏えいが起こる原因と企業が負うリスクを確認したうえで、送信前後で押さえたい6つの対策ポイントをご紹介します。あわせて、受信したFAXを安全に管理する方法と、受け取り方そのものを見直すという選択肢も解説します。自社の運用を点検する材料としてご活用ください。

FAXで個人情報が漏れる4つの原因

FAXで個人情報が漏れる原因は、送信時の操作と受信後の管理に大きく分かれます。具体的には、①宛先の押し間違い、②不要な情報の同封、③出力した紙の放置、④保管と廃棄のルール不在という4つが代表的です。ここでは、どの場面で何が起こるのかを解説します。

FAX送信時に起こる宛先の誤り

代表的なのが、宛先のFAX番号を押し間違えて別の相手に送ってしまう誤送信です。数字を1桁取り違えるだけで、まったく関係のない相手に書類が届きます。受信側が内容をどう扱ったかを、送った側から確かめる手立てはありません。回収もできません。

アドレス帳から選ぶ場合も、似た名称の取引先を取り違えることがあります。リダイヤル操作で、前回の送信先へそのまま送ってしまう例も見られます。また、送る書類そのものに本来不要な個人情報が含まれていることもあり、宛先が正しくても情報が広がります。

受信したFAXの放置と管理の不備

受信側では、出力した紙を取りに行かないまま放置してしまう状態が問題になります。複合機が共有スペースに置かれている場合、担当外の従業者や来訪者の目に触れることがあります。他の印刷物に紛れてしまい、そのまま紛失につながることもあります。

保管と廃棄のルールが決まっていない点も見落とされがちです。担当者ごとに机の上や引き出しへ置いたままになり、どこに何があるのかを把握できなくなります。確認や処分が個人任せになっていると、抜けが起きても組織として気づけません。漏えいが起こる場面と原因を、見落としやすい点とあわせてまとめます。

漏えいの場面 主な原因 見落としやすい点
①送信の操作 FAX番号の押し間違い リダイヤルの誤選択
②送信する書類 不要な情報の同封 一覧表をそのまま送付
③受信の直後 出力した紙の放置 他部署の目に触れる
④保管と廃棄 保管場所が不統一 廃棄方法が未設定

送信側と受信側で、注意を向ける対象が異なることが分かります。送信では操作と書類の内容が中心となり、受信では紙の置き場所と処分の方法が中心になります。どちらか一方だけを対策しても、もう一方から漏れる可能性は残ります。両方をそろえて見直す必要があります。

FAXの個人情報漏えいで起きる問題

個人情報が漏えいした場合の影響は、謝罪だけでは終わりません。取引の見直しや損害賠償の請求に加え、事実確認や連絡のための人手も必要になります。一定の場合には、法令にもとづく報告や本人への通知も求められます。ここでは、想定される影響を解説します。

企業の信用低下や損害賠償のリスク

まず生じるのが、取引先や顧客からの信用の低下です。書類を預けた側から見れば、自社の管理体制そのものへの不安につながります。取引の縮小や、新規の商談で管理体制の詳しい説明を求められるといった形で、影響が長く続くこともあります。

漏えいした情報の内容によっては、損害賠償を請求される可能性もあります。これに加えて、原因の調査、関係者への連絡、再発防止策の検討といった対応コストが発生します。通常業務を止めて対応にあたることになり、負担は小さくありません。

報告・本人通知が必要になる場合

個人データの漏えい等が発生し、一定の要件に該当する場合には、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が必要になります。示されているのは4つの事態です。漏れた情報に要配慮個人情報が含まれる場合、財産的被害のおそれがある場合、不正の目的による場合、対象となる本人の数が1,000人を超える場合です。

FAXの誤送信が、すべて報告の対象になるわけではありません。該当するかどうかは、漏れた情報の中身と件数によって判断が変わります。自己判断で済ませず、現行の報告義務については個人情報保護委員会が公開している資料で要件と手順を確認してください。

参考:個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」

誤送信に気づいたときの対応

誤送信に気づいた場合は、まず社内の責任者へ直ちに報告します。並行して誤送信先へ連絡し、書類の破棄または返送を依頼します。どの書類が誰に届いたのかを確認し、そのうえで報告や通知が必要な事態にあたるかを判断することになります。

この流れを事前に決めておくと、発覚時の対応が遅れにくくなります。誰が責任者へ報告し、誰が送信先へ連絡するのかまで決めておけば、担当者が判断に迷わず動けます。連絡に使う書式や、社内の報告先の一覧もあわせて用意しておきます。

個人情報をFAXで送る6つの対策ポイント

送信時の対策は、手順を決めて全員で守ることが基本になります。なお、個人データを社外へ送信する場合、送信先との関係によっては第三者提供に該当することがあります。該当する場合は、法令上の例外などを除き、原則としてあらかじめ本人の同意が必要です。ここでは、FAXを送る前から送った後までに押さえておきたい6つの対策ポイントを解説します。

1.送信する個人情報を必要な範囲に絞る

最初に確認したいのが、送る書類に不要な個人情報が含まれていないかという点です。取引に必要な項目だけを載せ、それ以外は伏せて送る運用に切り替えます。名簿や一覧表をそのまま送ってしまうと、その取引には関係のない相手の情報まで届いてしまいます。

定型の書類については、送信用の様式をあらかじめ用意しておくと確認が楽になります。宛先ごとに項目を判断する手間が減り、載せる情報の範囲が固定されるためです。手書きの書類の場合は、送信前に記載内容を確認する担当を決めておきます。

2.FAX番号を事前に登録する

送信のたびにFAX番号を手入力する運用は、押し間違いが起こる原因になります。よくやり取りする取引先のFAX番号は、アドレス帳や短縮ダイヤルに登録しておきます。入力する機会そのものを減らすことが、誤送信を防ぐうえで有効です。登録の際は、伝えられた番号が電話番号ではなくFAX番号かどうかを、複数人で確認します。登録した情報は、定期的な見直しが欠かせません。取引先の移転や部署の統合でFAX番号が変わっていると、古い登録先へそのまま送ってしまいます。使わなくなったFAX番号は削除し、一覧を最新の状態に保つ担当を決めておくと、確認の抜けを防げます。

3.宛先を別の担当者と確認する

宛先の確認は、送信する本人だけで完結させない形にします。FAX番号を入力した画面や送信票を、別の担当者に見てもらってから送信ボタンを押します。自分で入力したFAX番号は正しいものとして見えやすく、一人での確認では誤りに気づきにくいためです。

すべての送信で二重確認を行うと手間が大きく、形だけの確認になりがちです。個人情報を含む書類に限って行うなど、対象を絞る運用にすると続けやすくなります。どの書類を対象とするかは、担当者ごとの判断に任せず、社内で基準を定めておきます。

4.送付状で宛先と枚数を明示する

送付状には、宛先の会社名と担当者名に加えて、送信する総ページ数を記載します。送付状があることで、受信側は自分宛の書類かどうかをすぐに判断できます。枚数を明記しておけば、ページの不足に気づいた際に連絡してもらいやすくなります。 誤って届いた場合に備えて、自社の連絡先と破棄を依頼する旨をあわせて記載しておく方法もあります。取り扱いへの注意を書き添えることで、受信側の対応を促しやすくなります。ただし、送付状だけで漏えいを防げるわけではありません。

5.送信結果を確認する

送信を終えたら、送信結果のレポートで相手先のFAX番号と結果を確認します。通信エラーで届いていない場合や、意図しないFAX番号へ送信されていた場合に気づけます。送りっぱなしにせず、結果の確認までを一連の作業として扱うことが大切です。

確認の担当と手順は、あらかじめ社内で決めておきます。エラーが表示された場合の再送の進め方や、宛先が違っていた場合に誰へ連絡するのかまで定めておくと、送信した本人が判断を求められる場面が減ります。結果を見ないまま次の業務に移ってしまう状態を、仕組みで防ぐことが目的です。

6.送信後に残る書類と履歴を管理する

FAXを送り終えた後も、個人情報は手元と機器の両方に残ります。送信に使った原本の書類や、宛先が印字された送信結果のレポートは、机の上に置いたままにせず、決めた場所へ回収します。複合機やパソコンに残る送信履歴、登録したアドレス帳も、社内で管理する対象に含めておきます。

いつ、誰が、どの書類をどこへ送ったのかを記録しておくと、後から経緯を追えます。これらの書類と記録は、保管期間と保管場所、そして廃棄の方法を社内の規程として取り決めます。問題が起きた際に影響の範囲を早く把握できるかどうかは、この記録が残っているかで大きく変わります。

受信したFAXの個人情報を安全に管理する方法

受信したFAXの管理では、紙が社内に残る時間をいかに短くするかが要点になります。届いた書類をすぐ回収し、保管と廃棄の方法を決めておけば、放置による漏えいは減らせます。ここでは、受信したFAXに含まれる個人情報を安全に管理する方法を解説します。

受信したFAXを速やかに回収する

複合機に出力されたFAXは、できるだけ速やかに回収することを原則にします。決まった時間に確認する運用にする場合は、担当者と時間帯をあらかじめ決めておきます。誰かが気づいたときに取りに行くという形から抜け出すことが目的です。

担当者が不在の日の対応も、事前に決めておく必要があります。代わりに回収する人を決めていないと、休暇の期間だけ紙がたまり続ける状態になります。回収したFAXを誰にどう渡すのかまで含めて、手順として書き出しておくと運用が安定します。

受信FAXの保管・廃棄と閲覧範囲

回収した書類をいつまで保管するのかは、書類の種類ごとに決めておきます。保管場所は施錠できる棚にまとめ、担当者の机の上や引き出しに置いたままにしない形にします。期限が来た書類は、決めた方法で速やかに処分します。期限を過ぎた書類が残っていないかを確認する日も設定しておきます。

廃棄の方法も、手順として定めておきます。そのままごみ箱へ捨てると社外へ持ち出される可能性が残るため、裁断や溶解処理を用います。廃棄を外部へ委託する場合は、処理が済んだことを示す記録を受け取れるかどうかも、契約の前に確認しておきます。

保管したFAXを誰が見られる状態にするのかも、あらかじめ取り決めます。部署や担当ごとに分けて保管し、業務上必要な人だけが確認できる形にします。電子データで扱う場合はフォルダごとの閲覧権限を設定する方法もあり、担当者の交代時に見直す手順まで含めておくと、権限が残り続ける事態を防げます。

迷惑FAXが混ざる場合の受信の整理

受信するFAXには、取引に関係のない広告や勧誘が混ざることがあります。いわゆる迷惑FAXが増えると、重要な書類がその中に埋もれ、回収や確認が遅れる原因になります。個人情報を含む書類が長く放置される状況は、こうした場面から生まれます。用紙やトナーの消費も無視できません。

対応としては、受信したFAXを取引先ごとに仕分けし、不要なものをその日のうちに処分する運用が有効です。広告FAXには、送信の停止を求める連絡先が記載されていることもあります。なお特定商取引法では、消費者に対する通信販売のFAX広告について、あらかじめ請求や承諾を得ることが原則とされていますが、事業者間のやり取りは扱いが異なります。

個人データに求められる安全管理措置

社内のルールを決める際に基準となるのが、個人データ(検索できるよう体系的に整理された個人情報データベース等を構成する個人情報)の扱いです。個人データを取り扱う事業者には、漏えいを防ぐために必要かつ適切な措置が求められます。この措置は安全管理措置と呼ばれます。

個人情報保護委員会のガイドラインでは、基本方針の策定や取扱規程の整備に加え、組織的・人的・物理的・技術的な措置などが示されています。求められる水準は、事業の規模や個人データの取扱状況に応じて変わります。FAXの場合は、送信時の手順と受信後の管理が中心になります。

参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」

なお、医療や金融など一部の分野では、業種ごとのガイドラインで書類の取り扱い手順が定められている場合もあります。自社が該当する分野にあたるかどうかは、所管する省庁の資料で確認しておくと判断しやすくなります。取引先から手順を指定される場合もあります。

FAXのセキュリティ対策を社内で共有する

ここまでの内容は、文書として社内で共有します。口頭の申し送りだけでは、担当者が変わった時点で運用が途切れてしまいます。送信時の手順、受信後の回収と保管、廃棄の方法、記録の残し方を1つの文書にまとめ、運用の担当者を決めて全員へ周知します。

注意すべき点は、FAXの利用方法によっても変わります。パソコンから複合機を経由して送るPC-FAXや、インターネットFAXでは、個人情報が残る場所が紙とは異なります。取引先や体制の変化に合わせて、定期的に内容を見直す機会も設けておきます。利用方法ごとの違いをまとめます。

FAXの利用方法 個人情報が残る場所 主な漏えいリスク
紙のFAX運用 複合機と出力した紙 放置・紛失・第三者の閲覧
PC-FAX 社内のパソコン 端末の紛失・共有設定の不備
インターネットFAX サービス上のデータ IDの漏えい・権限設定の不備

どの方法が安全かではなく、注意する対象が変わることを押さえておきます。紙では放置と紛失が中心ですが、電子データではIDやパスワード、閲覧権限の管理が中心になります。自社がどの方法で運用しているかを確認したうえで、対策の中身を組み立ててください。

関連記事:ペーパーレスFAXとは?導入方法の違いと自社に合う選び方

FAXの個人情報管理を手段から見直す

ここまでの対策を進めても、紙で受け取る運用が続く限り、回収と保管の手間は残り続けます。負担が大きい場合は、受け取り方そのものを見直すという選択肢もあります。ここでは、紙を介さずに受信する方法と、検討する際に確認しておきたい点をご紹介します。

紙を介さないFAX受信という選択肢

受信したFAXを紙に出力せず、パソコンの画面で確認する運用へ切り替える方法もあります。複合機に紙が残らなくなるため、ここまで見てきた対策のうち、紙を前提とした部分は考え方が変わります。受け取り方そのものを見直すと、決めるべきルールが減る場合もあります。

こうした運用に対応した方法の一つに、法人向けのインターネットFAXサービス「MOVFAX(モバックス)」があります。受信したFAXは画面上で確認できるため、複合機まで回収に行く手順や、紙の保管場所と廃棄方法を個別に決める必要が減ります。プレミアムプランでは利用ユーザーを追加でき、ユーザーごとに利用できるフォルダを指定できます。

関連ページ:パソコン・スマホでFAX受信|メール転送・通知も可能【MOVFAX】

受け取り方を変える場合に確認したい点

受け取り方を変える場合、確認しておきたい点があります。多くのインターネットFAXでは新しいFAX番号が発行される形が基本のため、既存のFAX番号を使い続けたい場合は複合機からの転送で対応します。海外へのFAX送信に対応しているかどうかも、サービスによって異なります。

あわせて確認しておきたいのが、個人情報の取り扱い体制です。プライバシーマークなどの第三者認証を受けているか、端末とサーバー間の通信が暗号化されているかを、各サービスの公式サイトで確認します。データの保管場所や、解約後の扱いまで示されているかも見ておくと、社内の基準と照らし合わせやすくなります。

まとめ

FAXによる個人情報の漏えいは、送信時の操作と、受信した紙の管理という2つの場面で起こります。個人データを扱う事業者には、漏えいを防ぐ措置が求められます。どちらか一方だけを対策しても、もう一方から漏れる可能性が残ります。

送信では、情報の範囲を絞り、FAX番号を登録し、宛先を複数人で確認し、送付状で明示し、結果を確認し、書類と履歴を管理する6つが基本になります。受信後は、速やかな回収、保管期間と廃棄方法、閲覧できる人を決め、文書にまとめて共有します。まずは1か月に届くFAXの枚数と、そのうち個人情報を含むものの割合を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

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